望み通りの人生を歩む妹を横目にFラン大に進学するが…

圭太さんの両親は、学校に行きたがらない息子に対して、厳しく接した。四面楚歌のストレスは、食べることに向く。

「ウチの親は教育には厳しかったですからね。僕は祖父母が好きだったのですが、『圭太を甘やかすから行かせない』と言われました。親は自分ができることは『息子もできて当然』だと思っているんです」

風向きが一段と変わったのは、日本に帰ってきてから11歳年下の妹が生まれたこと。

「妹は3歳くらいから『頭がいい』という素質を見せ始めて、その後は親の望み通りの人生を歩んでいます。妹は中高一貫の名門女子校に苦労せずに合格。そのまま超有名国立大学の理系学部に合格。そして今、英国に留学中です。理系なのに英国では自分を補強するために文系の社会学を学んでいるのです」

妹には、某有名グローバル企業から、スカウトが来ているという。

その一方で、圭太さんはいじめで不登校になり、中学は公立中学校と並走し、フリースクールに通う。高校は親のすすめで、私立大学付属高校を受験し合格。卒業するまでの3年間、ほぼ誰とも口を利かなかった。

「そのままエスカレーターでFラン大(河合塾の入試難易予想ランキング表で『ボーダーフリー』とされる入学が容易な大学の総称)に進学するも、ホストまがいの男子学生や、ガールズバーにいそうな女子が多く、中退しました。

アルファベットも書けない人や多目的トイレで性交渉を行うような人もいて、本当に嫌気がさしたんです」

20歳の息子に7万円の小遣いを渡す47歳の優秀な両親

中退後の現実逃避は、アーケードゲームの『鉄拳』だった。昼夜はほぼ逆転し、ゲームセンターに通う。

「高校時代に、親がとやかく言ってきたときに、衝動的に死のうと思ったんです。それにビビった親が、僕のことをあきらめてくれた。その結果、月7万円の小遣いをもらえることになりました」

小遣いを嘆願する夫
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20歳になった息子に、7万円の小遣いを渡す47歳の優秀な両親。共働きだからできるのだろう。

「家事もしていましたからね。妹の塾弁当とかつくっていましたよ。そんな生活が1年続き、それがあまりにもラクでヤバいと思い、バイトを始めたのです」

採用されたのはコンビニと飲食店。いずれも2時間で「ムリです」とバックレた。

「結局、人と顔を合わせるのが嫌だとわかったんです。だから、ラブホテル清掃のバイトを始めました」