警官隊がなだれ込み、対象者を連行していくケースも
予備役は召集がかかると直ちに出頭しなければならないが、なかには事情ですぐに徴兵センターへ赴けない者もいる。また、ウクライナ情勢を受け、出頭に二の足を踏む人々も多い。こうした人々は兵役逃れと見なされ、徹底的に所在地を追跡され連行されていく。
英デイリー・メール紙は、顔認識を使って入隊拒否者を探し出したり、徴兵班が家庭や会社に押しかけて身柄を確保したりといった恐ろしい事例が起きていると報じている。
同紙が現地メディアの情報をもとに伝えたところでは、警官隊がオフィスのフロアに突入し、徴兵対象の年齢の男性を片っ端から連行しているという。目撃者は現地メディアに対し、連行の様子を語っている。
「午前中に1台の護送車が到着し、満員になりました。そして2台目がやってきました。私たちの会社の経営者や、そのほか1階にいた男性社員たちが連れ去られました。廊下にいたところを取り押さえられたのです」
ほか、駅構内を歩いているところ、急遽徴兵の対象になったというケースも出ている。同紙によると、警官から個人情報を聞かれて回答したところその場で召集令状を発行され、パトカーで連れ去られる事例が増えているという。
相次いだ徴兵事務所への襲撃事件
デイリー・メール紙はさらに、ロシアの空港で起きた珍事を紹介している。早朝5時、ロシア航空会社のアズールエア便は、トルコのアンタルヤに向けて出発しようとしていた。
ところが朝早くから搭乗を済ませていた乗客たちは、耳を疑うようなアナウンスを機内で耳にする。
「副操縦士が動員対象となり、これに伴い国境を越えることが禁止となりました。離陸は中止となりましたので、降機をお願いいたします」
同便は出発が9時間遅れ、やっと空港を発ったのは同日午後2時のことだったという。プーチン氏が署名した動員令は、対ウクライナではなく自国民に大きな不便を強いているようだ。
こうした強引な徴兵に、市民感情は悪化の一途を辿る。英スカイ・ニュースは、市民が徴兵に反発しており、徴兵センターの襲撃事件が発生していると報じた。
予備役30万人の動員をプーチン大統領が発表すると、ある入隊センターでは25歳の男が押しかけて発砲。軍の採用担当者が重傷を負っている。この現場を収めた動画には、採用担当者が倒れるとともに女性の悲鳴が反響し、他の職員らがいっせいに出口へ押しかけるというショッキングな一幕が記録されている。
別の入隊センターは火炎瓶による襲撃を受けた。