「話がうまい人」とはどんな人なのか。心理カウンセラーの山根洋士さんは「重要なのは『なにを話すか』より『なにを話さないか』。会話で評判を下げる人は、余計なことを話していることが多い」という――。
※本稿は、山根洋士『なぜ、あの人には何でも話してしまうのか 心理カウンセラーのスゴイ「聞く技術」』(アスコム)の一部を再編集したものです。
頑張って話すことが逆効果になる
日本語の「聞く」には2つの意味があります。
1つは、文字通り聞く。英語で表現すると「LISTEN」です。もう1つは、質問する。英語なら「ASK」です。どちらも聞くという行為になりますが、大きな違いは、話し手と聞き手、どちらが主役か。
LISTENは話し手が主役で、ASKは聞き手が主役になります。なぜなら、質問には聞き手の意図が反映するからです。質問内容によっては、話し手の話を誘導することさえできてしまいます。
話したいことが話せなくなるのですから、相手が満たされることはありません。つまり、上手な聞き手はLISTENしているのです。ところが私は、LISTENできていませんでした。
カウンセラーになったばかりの頃の私は、相談者の悩みや相談を「私が解決してあげる」のが仕事だと思っていたのです。
相談者の時間とお金をいただいているわけですから、悩みや相談を聞くだけでは申し訳ない。相談者が苦しみから解放されるための解決策や道筋を教えてあげることが、私の使命だと考えていたのです。
そういうスタンスになると、相手が主役のはずなのに、私の頭の中は自分のことでいっぱいになります。