「どうしたらこの問題は解決できるのか」
「どういうアドバイスをしたらわかってもらえるのか」
「何かいいアイデアはないか」……。

相手に「何を話そう」ということばかりが頭に浮かんできます。私は、相談者の話を聞いているつもりで、聞けていなかったのです。しかも、相談者の話を聞いている時間よりも、私が話している時間が長くなることもありました。これでは、「いいアドバイスができた」と私は満足しても、相談者が満たされることはないですよね。

頑張ろうとするのが間違いでした。相談者は、限られた時間の中で、自分の話をたくさん聞いてほしかったのです。

オフィスで働く成熟したアジアのビジネスウーマン
写真=iStock.com/Asia-Pacific Images Studio
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「何を話すか」より「何を話さないか」

この経験を踏まえていえるのは、会話の準備で必要なのは「何を話すか」ではなく「何を話さないか」だということです。

これまで何度も述べてきた通り、相手の話を聞いていると、こちらも話したいことがどんどんわき出てきて、いつの間にか「次に何を話すか」で頭がいっぱいになってしまいます。そうなると、聞くことがどんどんおろそかになってしまいます。

これを防ぐためのシンプルな解決策は、「何を話さないか」を準備すること。
慣れるまでは、例えば、

・アドバイスをしない
・自分のエピソードを話さない
・意見しない
・「でも」と言わない

など、簡単な“べからず集”を用意しておくといいでしょう。もちろん、「アドバイスがほしい」と言われたら答えればいいのです。これは受容と共感のための、初歩の初歩ですが、かなり強く意識しないと、つい自分から口を挟んでしまいます。そしてどんどん会話の心理的安全性を下げていきます。

次に典型的な「聞けない人」のパターンを紹介するので、それもぜひ反面教師にしてみてください。

会話で評判を下げる人の7大特徴

①アドバイスしたくなる「先生タイプ」

相手の話に失敗したことやうまくいかないこと、迷っていることなどが出てくると、ついアドバイスしたくなるのが、先生タイプです。

「○○がうまくできなくて上司に怒られまして……」
「○○なら、俺が教えてあげるよ。まず~」

相手は「解決策を教えてほしい」とはまだ言っていないのに、ただ「たいへんだったな」と言ってほしいだけかもしれないのに、先生タイプの人は、相手の思いをさえぎるようにアドバイスを始めます。しかも、わかりやすく教えようとすればするほど、話が長くなります。

教えるために聞いている先生タイプが会話で気になるのは、相手の話より、教えるためのネタ。「どうしたらいいアドバイスができるか」がいつも頭にあるため、相手の話に耳を傾けることがおろそかになります。