淡路島ほどの面積に500万人がひしめくシンガポールには、世界中から潤沢なカネ、質の高い人材、モノ(企業)が集まってきている。(ロイター/AFLO=写真)

シンガポールの人口は今や500万人を超える。90年代は300万人規模の国だったが、優秀な外国人を選別して永住権を与えて200万人近くの移民を受け入れてきた。世界中から掻き集めたタレントのパワーで経済成長を持続し、今やシンガポールの国民一人当たり名目GDPは日本の約4万6000ドルを抜いて約5万ドルに達する。

歴史的にみても、繁栄している地域や国では世界中から優秀な人材を集めている。たとえば、今こそ日本でも才能豊かな人材を世界と競争して呼び込む、という発想が必要だろう。世界トップクラスのファンドマネジャーを呼んで年金ファンドを運用させる。ハッカー天国のフィリピンから技術者を引っ張ってきてシステム開発させる。シリコンバレーに参集している起業家たちに大阪に移住してもらう。こういう動きが出てこなければ、今や日本の地方自治体の繁栄などありえないだろう。

このような例を参考にして橋下市長には、無用な政治闘争や政局などには明け暮れず、ヒト、モノ、カネに関する中央の規制を断ち切って、大阪で自由にできるようにすることに集中してもらいたい。それが大阪をピカピカに磨き上げる第一歩のはずである。

※すべて雑誌掲載当時

(小川 剛=構成 ロイター/AFLO=写真)