石川県に本社を置くドラッグストア「クスリのアオキ」が好調だ。直近決算の売上高は3283億円。店舗数は849店舗で、業界屈指の勢いで出店している。最大の強みは「食品の品揃え」。いったいどんな店づくりなのか。経営コンサルタントの岩崎剛幸さんがリポートする――。

入り口に「生卵」を陳列するドラッグストア

現在、石川県白山市に本社を置くドラッグストアチェーン「クスリのアオキ」が急成長を遂げています。この1年で店舗数は725店から849店に増えるなど、業界屈指の勢いです。

興味深いのは、ドラッグストア業界だけでなく、食品スーパー業界からも警戒されるほど、「食料品」に力を入れている点です。

4月某日、私は昨秋にリニューアルオープンした「クスリのアオキ」の松任布市まっとうぬのいち店(石川県白山市)を訪れました。そこで、入り口に並ぶ商品を見て驚きました。

「すこやかたまごサイズいろいろ10個入り1パック 158円」

陳列されていたのは「卵」だったのです。値段も食品スーパーに負けない安さです。

ドラッグストアも最近では食品を強化する店も増えていますが、店舗入り口で卵をここまで堂々と陳列する店は見たことがありません。

布市店入り口すぐの卵売り場といちご売り場
筆者撮影
布市店入り口すぐの卵売り場といちご売り場

左を向くといちごの大量陳列「いちごフェア」が。

「とちおとめ」「あまおう」などのブランドいちごが1パック398~698円で販売されていました。その横には生鮮食品の売り場がしっかりつくられていて、新鮮な野菜が大量に陳列されています。

万能ねぎが158円など野菜も値頃で新鮮。その先には鮮魚売り場、そして、精肉売り場に惣菜売り場と、同店の品揃えは完全に食品スーパーです。

肉はとても人気があり、1パック600円前後の「カナダ産輸入牛肩ロースステーキ肉」が何十パックも陳列されていました。

総菜コーナーには「NALXコロッケ」(198円)などの揚げ物が朝からズラリと揃っていました。

いったいなぜドラッグストアという業態でありながら食品を強化しているのか? それを知るためにはクスリのアオキの歴史をたどる必要があります。