「オレゴン世界陸上」はナイキvsアシックスの戦いの場
7月15~24日に開催される「オレゴン世界陸上」を前に、ライバル2社が早くもバチバチと火花を散らした。
アシックスは、「とにかく勝てるシューズを作ってくれ」との社長の陣頭指揮の下、精鋭社員を結集させた開発チームによるマラソン向け厚底シューズ「METASPEED+」シリーズの最新作を、6月14日に発売した。
そのわずか2日後の16日、それに対抗するように、ナイキも「エア ズーム アルファフライ ネクスト% 2」(以下、アルファフライ2)を披露した。
世界大会で使用できるシューズは30日前に一般発売したモデルでなければならない。そのため、約1カ月前の発売となった部分もあるが、両社のバチバチはこれだけではない。
アシックスは国際陸上競技連盟(IAAF)と2029年までオフィシャルパートナー契約を結んでおり、オレゴン世界陸上もサポートする。「2025年にはわれわれは1位になる」と社長自らが宣言しているだけに、この大会は大きなポイントとなる。
一方、ナイキの本社は世界陸上開催地であるオレゴンにある。地元アメリカ、しかもお膝元の街で行われる大会でさらにその存在感を際立たせたいはずだ。両社ともこの大会で新モデルをPRしたいのはもちろんだが、世界を市場とする両社の覇権争いの場ともなっているのだ。
以前の記事で紹介したアシックスの「METASPEED+」シリーズの最新作に続き、今回はファンが待ちに待ったと言われる「アルファフライ2」についてリポートしよう。
ナイキといえば、エリウド・キプチョゲ(ケニア)である。男子マラソンの世界記録保持者で東京五輪でも金メダルを獲得。37歳にして、いまだ進化を続け世界トップを突っ走る。今年3月に行われた東京マラソンでもダントツの1位。本人にとってはサードベストとなる2時間2分40秒でフィニッシュし、大会記録&日本国内最高記録を大きく塗り替えた。その際に、この新発売のシューズのプロトタイプを履いていた。
2024年パリ五輪で前人未到の3連覇を目指す“生きる伝説”が最終テストを行うかたちになったが、無事、キプチョゲのGOサインが出たことで、特に修正することなく発売される流れになった。キプチョゲ太鼓判の新厚底というわけである。