短期間で地元・北陸以外に進出した方法

クスリのアオキは北陸以外の地域のシェアも高めようとしています。

これまでは自前主義にこだわり成長を続けてきましたが、20年以降に戦略を転換しました。食品の鮮度を高め、より良い品を仕入れるために、ローカルスーパーのM&Aを進めているのです。

その際、買収した店舗をいきなりアオキ色に染めるのではなく、元の経営母体の人と商品の強みをそのまま生かした店舗をつくっています。

例えば、冒頭に紹介した松任布市店は、2020年クスリのアオキが石川県を地盤にしていた食品スーパー「ナルックス」を買収し、その後リニューアルした店舗です。

「クスリのアオキ」の松任布市店
筆者撮影
リニューアルオープンした「クスリのアオキ」の松任布市店

ナルックスが、もともと強みにしていた生鮮、冷凍食品、ビールや酒などのアルコール飲料やベーカリー売り場を生かしています。人気総菜であるコロッケも、ナルックス時代からあるものです。

生鮮3品が強くなってきたのは、こうした地域のローカルスーパーで活躍していた敏腕バイヤーがそのまま活躍しているからとも言えるのです。こうした販売手法もクスリのアオキ流と言えるでしょう。

中小スーパーの買収で地元に溶け込む

20年以降にクスリのアオキは6つの食品スーパーを傘下に収めています。いずれも店舗数10店舗以下、売り上げも6億~50億程度の地方中小スーパーばかりです。地域に溶け込む店舗づくりをスピーディーに実現するためのM&Aと言えるでしょう。

【図表2】クスリのアオキ 食品スーパーのM&A
同社リリース資料より筆者作成

現在、店舗展開は茨城(52店舗)、埼玉(39店舗)、千葉(20店舗)、群馬(80店舗)など関東地区にも出店を増やしています。今後はこうした地域でのM&Aなどもでてくるかもしれません。