覚えようとしても覚えられない。そんなビジネスパーソンのため、オトナだからこそできる必殺ワザを記憶のプロ2人から伝授してもらった。まずはゴールの明確化がポイントだ。
記憶術とは、効率よく覚えるためのテクニックである――大半の人はそう考えているのではないだろうか。しかし、記憶の達人によると、いちばん重要なのは「記憶する前の準備段階」だという。
『「ロジカル」暗記術』の著書がある西内啓さん(元・東京大学大学院助教)は、こう明言する。
「記憶にせよ、勉強にせよ、『なぜ自分がそれをやるのか』という目的、つまりゴールを明確にする必要がある。それが大前提であって、『何となく、やらなきゃ』という漠然とした焦りからスタートすると、せっかくの努力も報われないと思いますよ」
ゴールが明確になれば、それに対して最善のアプローチを取ることができる。たとえば英単語を覚える場合、ビジネス会話を上達させたいのか、管理職昇進のためのTOEIC対策なのか、その目的によって取るべき行動や記憶すべき範囲も違ってくるわけだ。
「必要に応じてインターネットなどで調べられるものなら、調べ方や資料の所在だけ覚えておく。自分で記憶したほうがラクなものは暗記する。そうやって整理することで、絶対に覚えなければならないものを絞り込むのです。要するに限られたリソースをどうマネジメントするか。結局のところ記憶術とは、戦略論、問題解決法といっていいでしょう」(西内さん)