車両の電動化で温室効果ガスの削減を目指す自動車業界にあって、ホンダは新しいガソリンエンジンをシビックに搭載した。交通コメンテーターの西村直人氏は「ホンダが新型エンジンを開発した真意が公道試乗でわかりました」という――。

ハイブリッド化で燃費を1.5倍に伸長

ホンダの世界的な主力モデルである「シビック」に新たなハイブリッドモデル「シビックe:HEV」が登場した。今回は公道試乗の様子をお伝えしたい。

搭載エンジンは新開発の直列4気筒2.0L直噴方式で、104kW(141PS)/182N・m(18.6kgf・m)。「e:HEV」を名乗るハイブリッドシステムの電動駆動モーターは135kW(184PS)/315N・m(32.1kgf・m)。燃費数値はWLTC値総合で24.2km/L(市街地モード21.7km/L、郊外モード27.6km/L、高速道路モード23.4km/L)を達成する。地味にうれしいレギュラーガソリン仕様だ。

現行シビックでは1.5Lターボエンジンモデル(ハイオク仕様)が先行発売されており、こちらはWLTC値総合で16.3km/Lだからハイブリッド化によって約1.5倍、燃費数値を伸ばした。

今回の試乗は長野県・八ヶ岳方面の公道で行った。発売前のプロトタイプにクローズドコースで試乗していた印象から、ペースを上げると元気よく走るハイブリッドモデルであることはわかっていたが、公道ではどうか。

シビックe:HEV
試乗したシビックe:HEVの価格は397万8700円(消費税込み)。秋に追加されるスポーツモデル「タイプR」は前後がワイドフェンダー化され、車幅が拡大する(筆者撮影)。

一般道で周囲の交通環境に合わせた走りができる「ECON」モード

静と動。シビックe:HEVのキャラクターをワンフレーズで表すとこうなる。急勾配が連続する路面で実感したのは、大排気量エンジンのような豊かな駆動トルクを生み出す電動車ならではの静かで頼もしい走りだ。クローズドコースの全開走行で見せたエンジン主体の活発なキャラクターとは真逆の世界である。

出力特性が任意で選べる「ドライブモード」は、燃費数値に特化した「ECON」、総合バランスを追求した「ノーマル」、走行性能に特化した「スポーツ」の3モードを基本に、ステアリングの操舵力や加速フィールなど好みに特性にアレンジできる「インディビデュアル」の合計4モードを用意した。

このうち、一般道路における筆者のおすすめは「ECON」モード。ハイブリッド≒燃費数値の向上だからといった安易な発想ではなく、周囲の交通環境に合わせた走りがしっかりと行えたからこそ一押しとした。それはナゼかと具体的に深掘りする前に、e:HEVのおさらいをしたい。