シリーズ方式でありながらエンジン「直結モード」も

e:HEVはいわゆるシリーズハイブリッド方式のシステムだ。このシリーズ方式ではタイヤに伝える駆動力を電動駆動モーターが生み出すことから、走行フィールはほぼEVだ。厳密にはバッテリー搭載量の違いから重心位置はEVとは異なるし、発電用としてエンジンが稼働するシーンがあるので車内にはエンジン音や振動が入り込む状況もあるが、電動駆動モーターならではの滑らかでトルク特性に優れた走りが終始、堪能できる。

日産では「e-POWER」が同じくシリーズハイブリッド方式として普及している。たとえばe-POWERを搭載するコンパクトカー「ノート」、「ノート・オーラ」は2022年上半期の国内登録車市場において最多販売電動車(2車で5万6942台)となった。

e:HEVもe-POWERと同じく、エンジンによって発電し、発電した電力で電動駆動モーターにより走るのだが、それとは別のモードとして、エンジンの力を直接タイヤに伝える「直結モード」が設けられた。ここがe-POWERとの大きな相違点だ。

エンジンとモーターの二面性が気持ちいい走行を生み出す

エンジン(内燃機関)が得意とする高速走行での低負荷時、たとえば高速道路の平坦路を一定の車速で走り続ける場合に、あえてエンジンで走らせる(=エンジンの力で直にタイヤを回す)。こうしてエンジンと電動駆動モーターの効率の良いところを使い分けながら、優れた走行性能と燃費性能の両立を狙うのだ。

前述したECONモード推しの理由は、アクセル操作に対するe:HEVの反応が慣れ親しんだエンジン(内燃機関)車のように感じられたからだ。公道ではアクセルペダルを大きく踏み込むシーンは少なく、ふんわりと力を込めては抜いて、またふんわり……。おおかたこの操作の連続になる。

ECONモードでは、そのふんわり操作に対する車の反応がとても洗練されている。「アクセルペダルに対する反応が鈍いのでは……」との評価になりそうだがそこはe:HEV。ペダルの踏み込み量に応じて元気な走行フィールが顔を出し始める。最初はふんわり反応して(≒あたかもエンジン車)、その後は電動駆動モーターの豊かなトルクでグイグイひっぱり上げる(≒まさしく電動車)。この二面性がたまらなくいいのだ。