夏休みは中学受験の天王山と呼ばれる。7月の模試の結果を踏まえ、ギアを上げられるかどうかで合否が分かれる。プロ家庭教師集団名門指導会の西村則康さんは「模試の合格可能性の数字に一喜一憂するのではなく、子供がうっかりミスしがちな問題を親子で確認することで、4教科計100点を挽回することも可能だ」という――。
合格ハチマキと夜食
写真=iStock.com/key05
※写真はイメージです

合否判定テスト「合格可能性30%」をどう評価するか

もうすぐ塾の1学期が終わり、受験生の6年生は、志望校の合格可能性がどのくらいかを見る合否判定テストを受ける。すべての単元学習が終わった後に行われる、この合否判定テストは、これまでのテストとは違い、問題文の文字数が一気に増えるなど、本番の入試に近い形の問題が出題される。そのため、その傾向に慣れていない子は、点を落としやすい。

中学受験の合格可能性は20〜80%の範囲内で評価される。最高数値は80%。どんなに優秀な成績をとっても、それ以上の数字は出ない。合格可能性80%と出たら、その時点では「ほぼ合格間違いなし」だが、実際そんな子はほとんどいない。

見込みありのゾーンとしては、合格可能性50〜80%だが、実際は50%以下の子も多い。それでも25%あればまだ十分に合格は狙える。

ところが、この事実を知らない親が多い。合格可能性30%という数字を見て、「もはや合格の見込みなしか……」と思い込み、即座に志望校を変えたり「こんなんじゃ合格できない。もっと勉強をさせなきゃ」と勉強量を増やしたりするケースが後を絶たない。悪くすると、間違った方向へとどんどん進み、“絶不調の沼”にハマってしまうことも珍しくない。

塾ではあまり教えないかもしれないが、合格可能性30%は、「よかったー! うちの子は合格できる見込みがあるんだな」と、本来であれば胸をなで下ろせる状態だ。だから、親は嘆くのではなく子供にこう声かけすべきだ。

「おっ! 7月の模試でここまでとれたのはすごいよ。1教科あたりあと3つ○の数を増やせば、ラクラク合格ラインに到達するよ!」