中学受験の理科と国語の出題文が異様に長い

中学受験の指導をするようになって、40年以上経つ。その間、毎年たくさんの入試問題を見てきたが、ここ5年くらいの間に入試問題の傾向が大きく変わってきているように感じる。特に変化を感じるのが理科だ。

勉強中の少年
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理科といえば暗記科目と思われがちだ。しかし、近年の入試はいわゆる知識だけを問う一問一答型の問題はほとんど出題されない。かつてから難関校ではその傾向があったが、近年は中堅校でもすっかり見かけなくなった。代わりに増えたのが「思考力」や「記述力」を求める問題だ。入試の中身を「知識」から「思考力」「記述力」へと舵を切った大学入試改革の影響が大きいと考えられる。

特徴としては、とにかく文章が長い。その中には図や写真、表などの資料が盛り込まれている。ひと目見たときに、「えっ? 一体どこから問題が始まるの?」とおののいてしまうくらいやたらと問題文が長いのだ。なかには、初見の内容が出されることもある。こうした問題を前にしたとき、「塾で習っていないから分からない」とあきらめたり、「こんな長い文章、読めないよ……」とひるんでしまったりするような子は、難関校には合格できないだろう。「まずは読んでみよう」と一歩を踏み出し、問題を読み進めるうちに新たな知識を得たり、発見をしたりすることを「楽しいな」と思える子、今ある知識や経験を活用して「自分なりに考えてみよう」と思える子こそ、難関校が求めている生徒像だからだ。

知識そのものを聞く問題が減った代わりに増えたのが、「なぜそうなのか?」といった因果関係を聞く問題や、「○○だったらどうなのか?」といった条件が変わったときの変化を聞く問題だ。こうした問題を対処するには、与えられた資料の中から自分で課題を見つけ、自分なりに解決方法を見いだす力が欠かせない。だが、そういう力はある日突然身に付くものではない。