点数を責めるよりも具体的な対策を伝えてあげる

模試が戻ってくると、真っ先に目が行ってしまうのが合格可能性のパーセンテージ。でも、25%以上が取れていれば、まずはヨシとして、見るべきものに目を向けてほしい。チェックすべきは、志望校ごとに必要とされるレベル問題の正答率だ。

男子校を例に出すと、開成・麻布といった最難関校を狙う場合は正答率30%以上の問題における子供の正答率がどの程度か。同じように本郷・芝といった難関校の場合は50%以上の問題の正答率、それより少し下の成城あたりは60%以上の問題は解けていないと合格が難しくなる。

開成学園
撮影=プレジデントオンライン編集部

正答率と照らし合わせながら、うちの子はどのタイプのどのレベルの問題なら解けていて、どの問題は解けていないかをチェックし、できていないところをどのようにしたらできるようになるか考えていく。現状を把握し、今後の対策に活かすために模試があるのだ。

例えば算数の速さの問題だったら、面積図で求める問題は理解できているようだが、ダイヤグラムで求める問題はまだ苦手のようだといった感じであらかじめ知っておくと、今後の対策がしやすくなる。

それとともに、どうやったらミスを減らせるかも考えていく。というのも、問題を解き直してみると気づくのだが、意外と問題を読み飛ばしていたり、計算ミスをしてしまったりといったうっかりミスで失点していることが多いからだ。ひどい場合だと、4教科の総合点の100点近くがうっかりミスということもある。

これほどもったいないことはない。一番防ぎやすいのは計算ミスだ。解答用紙の空きスペースの使い方を教えてあげるだけで激減する。親は、模試の合格判定や可能性に一喜一憂するのではなく、こうしたうっかりミスの有無を冷静にチェックしたい。それにより、一気に100点を挽回できる可能性もある。

問題を読み飛ばす子に多いのが、これまで暗記型の学習をしてきたがために「こういう問題のときはこう」と勝手に思い込んでしまうパターン。だが、入試を意識した模試では、塾のテキストに出てくるような問題をそのまま出すことはまずない。

「問題文で説明されている資料やデータなどをその場で読み解き、今ある知識とつなぎ合わせて考える」という解くためのやり方を知っていないと、得点に結びつきにくい。こうしたことを一つひとつ教えてあげる必要がある。「間違えた→その単元はわかっていない→その単元の問題を大量に繰り返させる」だけでは解決しないのだ。

よく子供のテストの結果を見て、「こんな点数では合格できなわよ。ちゃんとやらなきゃダメよ」と言う親がいる。子供を責めるだけで、抽象的なことしか言えない。これは一番いけないパターンだ。

わが子の成績を上げたいのなら、親は「ここはできるようになったね」「あとここさえできるようになれば合格に近づけるね!」といったように、合格の可能性を感じさせる言葉を渡し、かつ具体的な対策法を提示してあげること。具体的な対策を示してあげるには、親がわが子のできていること、できていないことをきちんと把握すること。愚痴や文句を言っている場合ではないのだ。

6年生にとって、この夏休みは受験の天王山といわれるほど重要な時期。それを迎える前の段階で、7月の合否判定テストで現状を正しく知り、今後の対策を親子で話し合うきっかけにしてほしい。ここできちんと分析と対策をしておくと、効果的な夏の学習ができる。