中学受験塾に小学校低学年から入る動きが加速している。プロ家庭教師集団・名門指導会代表の西村則康さんは「これまで通り、新4年生から(小3の2月入塾)で大丈夫ですが、入る前に、学力の土台となる力をつけておくことが必要です」という。その学力の土台とはいったい何か――(前編/全2回)。

※本稿は、『プレジデントFamily 中学受験大百科2022』の一部を再編集したものです。

開成学園
撮影=プレジデントオンライン編集部

導入編 知っておいてほしい受験事情

中学受験準備の低年齢化が進んでいる。塾によっては小学校の低学年で満席となっている校舎もあるという。これまで開成、麻布、桜蔭などの最難関中学に2500人以上を合格させてきたプロ家庭教師集団・名門指導会代表の西村則康さんのもとには、低学年や未就学の子供を持つ保護者から「いつから塾に入れたほうがいいか」といった質問が寄せられるそうだ。実際、何年生から中学受験の勉強を始めるとスムーズだろうか。

「新小学4年生から、つまり3年生の2月から塾に入るので十分です。大手塾は低学年用のカリキュラムを作っていますが、本格的な中学受験のカリキュラムが始まるのは3年生の2月から。低学年から始めないと遅れるということはありません」

ただしその入塾前に、学力の土台となる力をつくっておくことが必要だと西村さんは言う。では低学年のうちにつくっておきたい学力の土台とはどういったものだろう。西村さんは“実体験”と“算数と国語の基礎学力”(後編で詳述)だと話す。

「中学受験は親世代のときとは違い、知識や解法を暗記するだけではなく、学んだ知識や解き方を“どのように活かせるか”を考える力が問われるようになっています。大学入学共通テストで『思考力』『判断力』『表現力』が重視されるようになり、中学入試問題も変化しています。そのため、試行錯誤したり、いろいろな人と話したりした実体験が重要になっています。実体験が豊富なら新しい知識を学んだときに『なるほど!』という納得感が生まれやすくなるのです。算数や理科、社会で生活に密着した場面が題材になり、知識をどう使うかといった問題が増えています。こうした力が育っていないと高学年で成績が伸び悩みます。また算数の計算や国語の漢字も毎日少しずつやっておくことをおすすめします」

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