冷戦時代に逆戻り…「プーチンの戦争」で目を覚ました欧州

プーチンに対する包囲網が着々と築き上げられている。

北大西洋条約機構(NATO)はこれまで、ロシアを「戦略的パートナー」と位置づけ、直接的な交戦を避ける方針を明示してきた。しかし、6月29日にスペインで開かれたNATO首脳会議で採択された今後10年間の行動指針で、「最大かつ直接の脅威」との位置づけに転換した。

2022年6月29日、トルクメニスタンの首都アシガバートで記者団の取材に応じるロシアのプーチン大統領(トルクメニスタン・アシガバート)*この画像は、ロシア国営通信社スプートニクが配信。
写真=AFP/時事通信フォト
2022年6月29日、トルクメニスタンの首都アシガバートで記者団の取材に応じるロシアのプーチン大統領(トルクメニスタン・アシガバート)*この画像は、ロシア国営通信社スプートニクが配信。

冷戦終結以来の大転換だ。さらに、NATO加盟国は同首脳会議で、即応部隊を7.5倍に増やす方針で合意した。アメリカのバイデン大統領は、欧州の中立化を目論むプーチンがかえって欧州を刺激し、「NATO化」させる失策に陥ったと指摘した。

これとは別に、増長するロシアに業を煮やしたイギリスでは、将来的にイギリスまたはNATO軍を戦地に投入せざるを得ないとの主張が噴出しはじめている。イギリス単独の兵力には限界も指摘されているが、北欧2カ国の加盟でますます強固になるNATOの結束とあわせ、対ロシアの体制が着々と構築されつつある。