グーグルマップでロシアの「軍事施設」が丸見えに
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から約2カ月。当初、2日以内に首都キーウ制圧を目指したプーチン大統領だが、思い通りにいかなかった。4月21日には、南東部マリウポリを制圧したと宣言したが、ウクライナ側は認めず、苦戦が続く。そんなプーチン大統領の焦りと苛立ちを加速させているのは、21世紀に飛躍的に発展した「衛星画像」「SNS」という2つのテクノロジーだ。
「ロシアの軍事施設がはっきり見える」「OSINT(オープンソースインテリジェンス、オシント)しよう」――。4月下旬、こんなツイートと衛星画像がまたたく間に世界に拡散した。
オープンソースインテリジェンスとは、公開された情報を突き合わせて分析すること。衛星画像をもとにロシアの軍事能力を皆で分析しようというSNSの呼びかけは、ロシアにとってはさぞ腹立たしいものだっただろう。
きっかけとなったのは、ウクライナ軍を名乗るツイッターアカウントによる投稿だ。グーグルの地図サービス「グーグルマップ」で「誰もがさまざまなロシアの発射装置、大陸間弾道ミサイル」などを「約0.5メートルの解像度で見ることができる」とツイートし、戦闘機や艦船が鮮明に写った高解像度の画像とともに公開した。その後、このアカウントは停止されたが、くっきりとした画像のインパクトは大きかった。
衛星の威力がプーチン氏の狙いを打ち砕いている
衛星画像とSNSは、ロシアにとって大きな脅威になっている。
ウクライナへ向かうロシア軍の車列、キーウ近郊のブチャ路上に放置された多数の遺体などの画像が次々と公開され、ロシアが何をしようとしているか、あるいは何をしたのか、どれほど残虐なことをしているのか、などが目に見える形で人々に示される。
この多数の遺体をめぐってロシアは、ウクライナ側の「挑発だ」と応酬。「ロシアがブチャを掌握していた時に、地元住民が暴行を被るようなことはなかった」と主張した。
だが米メディアなどが衛星画像の撮影日時を分析し、ロシア軍がブチャを占拠していた時にすでに遺体があった、と判定。ロシアの主張が虚偽であるという見方が世界に広がった。