一方、衛星は地上のすべてを絶えず撮影できるわけではない。北朝鮮は、米国などの衛星が自国の上空を飛行する時には、ミサイルや発射台などに覆いをして衛星から見えるのを防止しているという。宇宙からの目をだますこともできるのだ。

相互監視ともいえる時代。どのように衛星画像を活用、あるいは宇宙から丸見えになることを防御していくか。戦略が重要になっている。

合成や改竄…「偽写真」を見抜くには?

さらに心配なのは偽情報だ。

AIの「深層学習」の手法を利用して、写真や動画の一部を合成して偽画像や偽動画を作る「ディープフェイク」が問題になっているが、衛星画像もその問題を抱えている。

昨年、米ワシントン大の研究者が、AIを使って、都市の衛星写真を改竄できる、という論文を発表。衛星画像というだけで信じてしまうことの危険性を指摘した。

ディクソン米国家情報長官代理も、膨大な量の衛星画像について、ずさんな分析も可能だと指摘。厳格な分析をせずに、衛星画像をもとに、見通しやさまざまな主張を述べることへ警鐘を鳴らした。

偽画像だけでなく、昔の画像や直接関係ない画像がいかにも現在のもののように使われている可能性もある。衛星画像ビジネス企業に、偽物を作ろうという悪意のある人間が入りこめば、さらに問題は深刻化する。

偽情報をチェックするためには、SNSの真偽を判断する時と同様の方法が考えられる。誰がその情報を発信・拡散しているかを確認したり、グーグル画像検索や、「ティンアイ」などの画像検索サイトを使って、どこでこの画像が使われてきたかを調べたりすることもできる。だが確実に答えを得られるわけではない。

宇宙の目は威力を発揮する一方で、危険とも隣り合わせている。

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