相続が起きたとき、疎遠な親族から「誠意を見せろ」と財産分与を迫られたらどうすればいいのか。医療・保健ジャーナリストの西内義雄さんは「司法書士など専門家に対応を頼むべきだ。当事者間の話し合いで解決することは難しい」という――。(後編/全2回)
「財産は全て義母に」と書かれた遺言書が出てきた
(前編から続く)
話し合いから1カ月が経過した。この間、親族たちからの連絡はなく、今後も叔父夫婦の面倒を見る気がないことは明白だった。相続に関しては、少し執着が弱まったかもしれないが、まだ義母に対するあらぬ噂を立て続けることも予想され、筆者は何をすべきか考えていた。そんな時、義母から
「叔父さんの家を片付けていたら、手書きの遺言書が出てきた」
との一報が入った。内容を確認してもらうと、「自分たち夫婦の亡き後は、全ての財産を幸子(義母)に贈呈致します」と記されていた。念のため叔父に尋ねてもらうと、自分が書いたものだと認め、改めて財産は義母だけに遺したいと口にしたという。
ただ、詳細を聞く限り、遺言書が自筆遺言証書として法的な効力を持つとは思えなかった。そこで筆者は、義母や叔父たちのためにも、親族たちが勝手な手出しをできないよう、必要な手続きを進めていこうと決意した。
幸い、九州と東京は離れていても、パソコンや電話、メールを駆使した入念な情報収集と準備はできそうだ。その上で現地に飛び、一気に片付けることにした。