女性が無能さを嫌悪し、男性から見て「気まぐれ」に見える行動を取ることがあるのも、すべては科学的な理由がある、とするのは、進化心理学で恋愛の秘密を解き明かした『モテるために必要なことはすべてダーウィンが教えてくれた』だ。進化論的に正しい“モテ”の新常識とは──。(第4回/全5回)

※本稿は、ジェフリー・ミラー、タッカー・マックス著、橘玲監訳『モテるために必要なことはすべてダーウィンが教えてくれた』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

女性に選ばれるのは「誠実な努力」

何百万もの種において、オスがメスから選ばれる試練を突破するために見つけた確固たる方法は4つしかない。それは「力」「だまし」「買収」「誠実な努力」だ。もっとも推奨されるのは、もちろん「誠実な努力」だ。

女性にとって魅力的な男性になるには、女性が進化の過程や文化・伝統、個人の性格、その場の状況などにもとづいて培った選択基準に従わなければならない。

それとは逆に、彼女たちの好みが君の好みに変わってくれると夢みることもできるだろう。しかし現実の世界では、本能的な好みを変えるよう女性を説得することなどできない。彼女が君に魅力を感じるか、感じないかの二択なのだ。

だから、現実的で倫理に即した唯一の方法は、女性を魅了する回路を備えた男性へと自分を変身させることだ。

手をつないでいるカップル
写真=iStock.com/mihailomilovanovic
※写真はイメージです

恋愛市場は「ゲーム」

恋愛市場を「ゲーム」と捉えてみよう。

ゲーム理論では、ゲームは「プレイヤー」「報酬」「ルール」の3つで構成される。勝つためにはこれらすべての要素を理解する必要がある。理解せずにプレイすると、カジノでカモにされて破産することになるだろう。

重要なのは、パートナー探しのゲームにおいて、女性はカジノ側ではないということだ。君が負けると彼女が勝つわけではない。それどころか、彼女も君が勝つことを望んでいる。なぜならパートナー探しとは、両方にとってウィンウィンの関係であるべきものだから。

だからこそ、このゲームに参加するプレイヤー(女性だけでなく男性も)や、それぞれが求める報酬(好みの違い)、そしてルール(求愛活動やシグナリング、出会い市場がどのように機能するのか)を理解することが重要だ。