②よきパートナーになるか?

過去100万年の間、多くのヒトの子どもは、つかの間の情事や一度かぎりのセックスではなく、社会的に認められた「つがい」──彼氏と彼女──の関係性のなかから生まれた。つまり女性にとっては、よい彼氏を見つけることが、子どもを育てて次の世代へとつなげるためのもっとも信頼できる戦略だということだ。

また、どの種のメスも、知らないオスやオスの集団から自分を守ってくれる既知のオスから恩恵を得る。だから女性は、自分を守ってくれる頼りがいのある「ボディガード特性」に惹かれやすい。

つまり、魅力的なパートナーになる可能性を秘めた男性へと変身すれば、性的な選択肢は無限に広がる。

海に沈む夕日を背にキスをするカップル
写真=iStock.com/JosuOzkaritz
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③よき父親になるか?

ヒトの父親は、進化の歴史のなかで、他の種と比べてもっとも優秀だ。われわれは父親としては育児の達人で、赤ん坊や子どもが生き延びて世に羽ばたけるよう、食料を与え、保護し、模範となり、教え導く。

ヒトの父親は少なくとも200万年もの間、子どもの人生において重要な役割を果たしてきた。ヒトの父性が進化した理由は、女性がよい父親(あるいは養父)になりそうな男性をパートナーとして選んできたからだ。

性淘汰のなかの「よい親」プロセスと呼ばれるもので、人類にとってはとくに重要な要素である。男性がよい父親へと進化したおかげで、女性は1年を通していつでも妊娠し、チンパンジーやゴリラよりも速いペースで出産できるようになった。