全世界100万人に影響を与えた「進化論的モテのノウハウ」がある。このたび日本語版『モテるために必要なことはすべてダーウィンが教えてくれた』を監訳した作家の橘玲さんは、「誰でも『若いときに知っていれば人生が変わったのに!』と思うことがあるだろう。これはまさにそのような本だ」と語る。非モテ男性に福音をもたらすその内容とは──。(第1回/全5回)

※本稿は、ジェフリー・ミラー、タッカー・マックス著、橘玲監訳『モテるために必要なことはすべてダーウィンが教えてくれた』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

女性はどんな男性を望むように「進化」したのか

女性たちはずっと悩んできた。「素敵な男性はどこにいるの?」。男性も悩んでいる。「なんで女性とつき合えないの。ぼくがヘンなことをいったから?」。そして、どちらの疑問に対しても、誰も答えをもち合わせていない。

ヒトの脳のうちの原始的な部分は、優れたリーダーやヒーローがいて、若い男女がパートナーと出会うための儀式がある共同体を前提に「設計」されている。

そこでは思春期になると、すべての男性にガールフレンドを見つけるチャンスが提供された。何十万年も続いた狩猟採集社会には、そんな性文化が根づいていた。

でも不幸なことに、現代社会に生きている君は、先祖たちが享受してきた優れた性文化の恩恵を受けることはもうできない。

女性に赤いバラの花をあげるアジアの若者
写真=iStock.com/Kiwis
※写真はイメージです

そればかりか、親や教師、知識人や専門家たちは、バカげた話ばかりを吹き込もうとしている。彼ら/彼女たちは、君の幸福になどなんの興味もなく、ただ自分がいい気分になるために勝手なことをいっているのだ。

「メスの選択の壁」を乗り越える

本来なら、もっとずっと前に、モテるためには、女性がどんな男性を望むように「進化」してきたかを理解し、そんな男性になる方法が語られるべきだった。

これは「革命的(revolutionary)」な話ではなく、「進化論的(evolutionary)」な話だ。生物学的に見れば、賢い動物のメスは、自分のつがいとなる相手(メイト)を、一定の基準にもとづいた好みによって選ぶ。その基準に達しなければ、つがいにならない。

これがモテの基本で、その逆はない。生物学では、これは「メスの選択(female choice)」と呼ばれる。

「メスの選択の壁」はあまりにも巨大なので、迂回うかいする方法はない。君にできることは、この現実を受け入れたうえで、自分を女性の選択基準に合わせることだけだ。

逆にいえば、それさえできれば、将来のガールフレンドが君に魅力を感じ、望みをかなえてくれる。──それが一夜の逢瀬でも、生涯の伴侶であっても。