モテるための必要なことはすべて「失敗」に学んだ
「君は進化心理学者で、性の研究をしてるんだよね」とタッカーはいった。
「だったら、その若者たちにもっとマシなモテ本を教えてやればいいじゃないか」
「そんな本はこの世に存在しないんだよ。誰も書いてないから」
ジェフの返事にタッカーは仰天した。
「こんな大事なことについて、基本的なことを教えてくれる本がないなんて、そんなことがあるわけがない。君は間違ってるよ」
いや、タッカーが間違っていた。ジェフの次の質問にタッカー自身、こう答えたのだから。
「君(タッカー)はどうやって、その基本的なことを学んだんだい?」
「ああ……たしかに、トライ・アンド・エラーで、自分で学ばなきゃいけなかった。たくさんの、たくさんの失敗を通じて」
科学的な公平さを欠いた性教育
それからジェフとタッカーは、夕飯の間じゅう、アメリカ文化がモテの基本を男の子たちに教えることに失敗している理由を語り合った。
ジェフの話では、アメリカの学校は、性教育に関していまだに驚くほど抑圧されている。教師は学生に、どうすれば魅力的になれるのか、出会い系サイトでどんなふうにメッセージを送ればいいのかを教えることができない。大学教育は、学生のパーソナルライフを充実させることよりも、将来の稼ぎをよくすることに注力している。
その空白を埋めるのが、宗教の熱心な信者、ジェンダー論者やフェミニスト、マノスフィア(フェミニズムに反発して男性の権利を主張するネット上のコミュニティ)のミソジニスト(女性嫌悪者)たちで、イデオロギーで歪んだ主張をまき散らしている。そうでなければ、ほとんどのアドバイスは、PUA(ナンパ師)のような非モテを搾取しようとするマーケターによるものだ。
こうしたアドバイスはどれも事実にもとづいておらず、間違っていて、科学的な公正さを欠き、ジェフの専門分野ではすっかり時代遅れになった理論にしがみついている。