「若者のバイブル」の著者と出会う
そこでジェフは彼らに、どうやってモテについて学んでいるのか訊ねた。こうして扉が開いた。
何人かが『地獄でビールを出してくれればいいのに』や『クソ野郎が一番になる』などのタッカー(本書の共著者のひとりで、作家のタッカー・マックス)の本を挙げたのだ。
若者たちは、これらの本に忠誠を誓っていた。現代のパーティ文化を知るためだけでなく、デートのバイブルになっていたのだ。
ジェフは、アメリカの若者たちがモテについてどれほど無知なのかに驚くとともに、このタッカーなる人物についてもっと知りたくなった。
そこでタッカーの著作を読んでみたのだが、謎は深まる一方で、「???」の文字が頭に浮かぶだけだった。
「若者のモテのバイブル」はただのNG集だった
数カ月後、ジェフはテキサス州オースティンで開かれた心理学会に出席する機会を利用して、オースティン在住のタッカーに会ってみることにした。ふたりはすぐに打ち解け、ジェフはタッカー・マックスのファンである若者たちのことを話した。
「その子たちはモテてるのかい?」とタッカーは訊いた。
「いまいちだね」とジェフは答えた。
「混乱して、欲求不満になっていて、失礼な言い方だけど、君の本では最良のデートライフを学ぶことができないみたいだ」
「そりゃそうだ」とタッカーは思った。なにしろ彼は自分の本に、パーティで泥酔したあとセックスしたり、友だちと馬鹿をやったりしたことを面白おかしく書いただけであって、“教育的なマニュアル”などぜんぜん書いていなかったのだから。
むしろ自分の話は、「デートで何をしてはいけないか」の教訓として読んだほうがいいと思っていたくらいだ。