イスラエルの社会学者、オルナ・ドーナトさんは、「母親になって後悔している」という女性23人にインタビューを行った。ドーナトさんは「その大多数が、後悔は母になったことであり、出産した子どもについては後悔していない」という――。(第3回/全3回)

※本稿は、オルナ・ドーナト『母親になって後悔してる』(新潮社)の一部を再編集したものです。

顔を覆って泣いている妊婦
写真=iStock.com/Andrey Zhuravlev
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母になったことは後悔、子どもたちについては後悔していない

私がインタビューした女性の大多数が、母としての気持ちと子どもたちに対する気持ちに違いがあると強調していた。この区別については、ジェシー・バーナードの1974年の著書『母性の未来(The Future of Motherhood)』において文書化されており、この本で著者は、子どもを愛しているが母であることを嫌っていると「思い切って」認めた労働者階級と中産階級の母について言及している。私の研究に参加した母にとって、この区別は、後悔は母になったことであり、出産した子どもについては後悔していないということを明確にするのに役立っている。

シャーロット 2人の子どもの母。1人は10~14歳、もう1人は15~19歳

話は複雑なんです。私は母になったことは後悔していても、子どもたちについては後悔していません。その存在も、性格も。あの子たちを愛しています。

あんな愚かな人と結婚したけれど、後悔していません。なぜなら、他の誰かと結婚しても、別の子どもを産んで愛していたでしょうから、本当にややこしい話です。

子どもができて母になったことを後悔していますが、得られた子どもたちは愛しています。ですから、きちんと説明できることではないのです。もしも私が後悔するなら、あの子たちがいなければいい、という話になります。でも、あの子たちがいないことは望みません。私はただ、母でいたくないだけです。

ドリーン 5~9歳の3人の子どもの母

そう口に出すのは、私には難しいです。なぜなら、あの子たちを愛しているから。心から愛しています。でも、いなくても私は……。

長い間、精神分析医にかかっていました。それが、おかしなことに、私が完全に〔はっきりと〕感じる何かがあるとすれば、それは〔この〕感覚です。母になるプロセスは完了していないけれど──ここで発言していることを完全に〔明確に〕感じています。それは、子どもがいて、その子たちを愛しているけれど、いなくてもいい、という全く重ならない2つの考えを持っているということ。だから、質問に対する答えはこうです──もしも私が別の道を選べるのだとしたら、そうするでしょう。