在宅介護は、その期間の長さに関係なく、おそらく介護をするための基礎体力をつける期間と考えてよい。だからこそ、手を抜かずに取り組まなければ先の展望が開けないのである。今後、高齢者を受け入れてくれる施設不足の状況が改善される希望がそれほど持てない中で、在宅介護サービスの賢い利用法はぜひともマスターしておきたい。

まず、ホームヘルパーとのつきあい方である。介護保険制度において訪問介護サービスと呼ばれ、買い物、調理、食事介助、入浴介助、排泄介助などのサービスが提供される。しかし、電球の交換、犬の散歩、芝刈りなど要介護者に直接関わりのないサービスは禁止されている。オーストラリアなどのホームヘルプサービスでは、こうしたサービスも高齢者の生活を支えるという観点から認められているが、日本の場合は高齢者の直接的な介助に限定されている。

このサービス内容の解釈がサービス提供者と利用者の間でしばしばトラブルの種になるのだが、黙って何でもやってくれるホームヘルパーは、親切なようで実のところ危険だと考えるべきだと、依田平社長は語っている。

「法律で禁じられたサービスはできないことを相手にきちんと伝えられるヘルパーを選んでほしいですね。融通がきかないと非難されることもありますが、私は法律を守る姿勢を長年続ければ最終的に信頼が得られると信じています」

つまり、サービス選びの原則は、信頼に足るパートナーを得ることから始まるのだと認識しておかなければならない。

さらに、サービス利用者側が良い人になっていたのでは、結果的に痛い目に合う可能性のあることを知っておこう。ガマンしすぎないこと。介護サービスの利用は人と人とのやりとりである。どうしても相性が合わないこともある。その場合は、ヘルパーの変更、利用するサービス事業所の移動を希望することができる。ケアマネジャーに相談して、早めに決断することだ。判断が遅れれば、それが致命傷になる。

次に、デイサービス、デイケアサービス、ショートステイなど、介護施設を一時的に利用して在宅介護の負担を軽減するサービスの選び方である。