階段を上るときには、一緒に段数を数える

階段遊びもいい。まずは親子で一緒に「1段、2段……」と数えることから始める。何度も通る道なら、「この階段は確か20段あったよね。今、8段上ったけど、あと何段で頂上に着くかな?」と今度は残りの数を聞いてみる。計算がまだできない子供は、目で確認しようとする。こうした経験で、「20分の8」とはどのくらいの位置を表すのか、身体感覚でイメージできるようになる。

手をつないで森を歩く父と娘
写真=iStock.com/Hakase_
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算数が得意な子は、設問の内容を頭の中に入れておくことができる。そのときに「りんごが3つ、みかんが4つ」と単に数を覚えておくのではなく、りんごが3つ、みかんが4つ机の上に並んでいるのを状況として思い浮かべられるかどうかがポイントになる。幼少期にたくさん数遊びをしてきた子は、自分の経験からその状況をイメージすることができる。

一方、してこなかった子はイメージができず、よく分からないまま出てきた数字を公式に当てはめて答えを出そうする。単純な問題ならそれで答えを出すこともできるが、入試レベルの複雑な問題になってくると、たちまち解けなくなってしまう。幼少期にどれだけ数で遊べたかが明暗を分けるのだ。

折り紙や積み木は「図形問題」に必要な力を育てる

平面図形や立体図形といった図形問題も、幼少期の遊びの影響が大きい。やはり、折り紙や積み木、タングラムなどで手を動かしてきた子は、イメージ力が身についている。折り紙は折ったり、広げたり、切ったりすることで線対称のイメージに役立つ。積み木やタングラムは角度や切断のイメージを培うことができる。一方、図形問題が苦手な子は、鈍角の三角形の面積を求めるときに手が止まる。直角三角形や鋭角三角形なら解けるのに、鈍角になるとたちまちどれが底辺と高さなのかが分からなくなってしまう。これもイメージ力の不足が原因だ。

図形が得意な子は、手先が器用な子が多い。小さいときから手を動かす訓練をしてきたからだ。自分の手を動かしたからこそ、その感覚が体に染みつく。思考力を重視する中学受験の算数は、この身体感覚がとても大事だ。親が理数に強いかどうかではなく、親がそういう環境をつくってきたかが大切になる。