巣篭もり生活の充実に欠かせない企業だったが…

今回もそうなるとは限らないが、ネットフリックスの株価急落はインテルショックを彷彿とさせる部分がある。コロナ禍以降の世界経済の展開を振り返ると、同社はコロナ禍における新しい生活様式を支えた象徴的なプラットフォーマー企業の一つといえる。

コロナ禍によって動線が寸断された結果、自宅で過ごさなければならない人は急増した。ネットフリックスは巣篭もり生活の充実に欠かせない要素だった。低金利とカネ余り環境の継続期待に、日常生活の満足感への貢献という要素が加わり、米国の個人投資家にとってネットフリックスは投資しやすい銘柄に映っただろう。

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写真=iStock.com/Wachiwit
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このように考えると、FRBが物価上昇への危機感を一段と強め金融政策の正常化を急ぐ姿勢が鮮明化していることは、株価上昇を支えたカネ余り環境の継続期待をくじく。決算後もネットフリックス株は下落基調で推移している。金利上昇への警戒感によって同社の実力をより冷静に見極めようとする投資家は増えている。

米国の株価調整圧力は今後も高まる

ネットフリックスの株価急落は今後、米国の株価の下落圧力の高まりを示唆する一つの変化と言える。年初来の米国の株価の推移を確認すると、ある程度株が下げると押し目の買いが入る展開が続いてきた。短期目線で考えた時に、株価の反発余地が大きいと考える投資家はまだ多い。その典型的な銘柄の一つが、ゲームストップ株だ。

同社の利益は赤字基調だ。それにもかかわらず、3月末には株式の分割計画が発表されたことが好感されて株価が大きく上昇する場面があった。4月26日の終値は127ドル台、2019年の終値(6ドル台)を大きく上回る。FRBは追加利上げを急ぎ、それと同時に流動性の吸収に取り組む考えを強めているが、先行きを楽観する投資家は依然として多い。短期的に米国の株価は荒い値動きになるだろう。下げたところで買う投資家がいると考えられるため、下落トレンドが鮮明となる展開は避けられる可能性がある。