期待先行型のナスダック市場に大きな打撃
しかし、いつまでも株価が上昇することはない。やや長めの目線で考えると、金融政策の正常化の加速によって米金利は上昇するだろう。それによって、企業が永続的に生み出すと考えられるフリー・キャッシュ・フローの現在価値はより大きく割り引かれ、株価の下方リスクは拡大する。
特に、成長への期待が先行して株価が大きく上昇したナスダック市場の下落圧力は相対的に大きくなる可能性が高い。足許の世界経済は、米国経済の緩やかな景気回復に依存している。言い換えれば、米国に代わって世界経済を支えられる国が見当たらない。株価の下落によって米国の消費者や企業経営者のマインドは悪化するだろう。
それによって、世界経済全体で株価の不安定感は高まり、リスク回避的な心理が増える可能性がある。その場合、米国や中国の自動車や先端分野での工作機械需要を取り込んで景気の持ち直しを実現してきたわが国の株式市場、および実体経済への下押し圧力は顕著に高まる恐れがある。4月下旬、ナスダック総合指数の下落が鮮明となる場面が増えた。徐々に世界経済の先行き懸念を強める投資家は増えつつあるようだ。