マネーゲームの様相から一転したFRB議長の発言

ゲームストップなどのミーム銘柄に加えて、コロナ禍における巣篭もり生活に欠かせないネットフリックスやメタ、アマゾンなどのITプラットフォーマーへの買いが急増した。多くの個人投資家はスマホのゲームを楽しむ感覚で株を買い、マネーゲームと呼ぶべき状況が鮮明化した。

一時は個人が機関投資家よりも大きな影響を米国株式市場に与え、個人投資家の投資行動に着目して利得を手に入れようとする主要投資家も登場するなど、上がるから買う、買うから上がるという強気な相場展開に拍車がかかった。その結果、昨年11月中旬にネットフリックスの株価(終値)は691ドルの過去最高値を更新した。

潮目の変化となったのが、同月下旬にFRBのパウエル議長が“物価上昇は一時的”との認識の誤りを認めたことだ。それを境に、ネットフリックス株の売りが増えた。その上で決算が失望を呼んだ。

ITバブル崩壊につながった“インテルショック”

ネットフリックス株の下落の意味は少し立ち止まって考えるべきだ。過去のバブルを振り返ると、株価上昇は間違いないという強い期待を一手に集めた企業の株が大きく下落し、それがバブル崩壊のきっかけになったことが多い。

その一つが“インテルショック”だ。1990年代半ばから米国の株式市場では、“ITバブル(~ドットコムと名のつく企業であれば株価上昇が間違いないという過度な期待が高まり、ネットや半導体などIT企業の株が高騰した経済環境)”が発生した。2000年9月にバブルは崩壊したと考えられる。

そのきっかけとなったのが半導体大手のインテルの業績下方修正だった。当時、主要投資家はインターネットの利用増加によって半導体需要が未来永劫増えると先行きを楽観した。しかし、インテルの業績悪化という想定外の展開に慌て、投資家は我先に株を売った。売りが売りを呼び、下がるから売る、売るから下がるという弱気心理が連鎖した。2000年3月に5048ポイントの当時の高値をつけたナスダック総合指数は、2002年10月に1114ポイントまで下落した。