essential workerという言葉を初めて目にした方も多かったのではないでしょうか。これは「社会を維持するために欠くことができない仕事に就いている人」の意味で、医療、介護、物流、警察・消防・ゴミ収集などの公共サービス、交通機関といった、私たちの生活を直接的に支えるライフライン関連の仕事に従事する人たちのことです(イギリスではkey workerと呼ばれるようです)。

新型コロナウイルスの発生により頻繁にメディアに登場することになったのはsocial distancingです。

social distancingとは、感染症拡大防止の観点から、人と人との間に安全な距離を保つこと(keeping a safe distance between people)で、「社会的隔離、社会的距離の確保」などとも訳されているようです。具体的な距離は、アメリカのCDC(疾病管理予防センター)では「6フィート(約1.8メートル)」としていますが、WHO(World Health Organization、世界保健機関)は少なくとも1メートルの距離を取ることを勧告しています。日本では2メートルが目安です。

ソーシャル・ディスタンス
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ソーシャルディスタンスは英語と日本語では全く異なる

日本語では「ソーシャルディスタンス」という言葉が使われますが、英語ではsocial distanceは、「出身階層・人種・性別に関連して、他の人との間に心理的な距離を置くこと」を指す、まったく別の概念です。この2つは混同されることもよくあるようですが、重要なのは、心理的・社会的な距離ではなく、物理的な距離を保つこと。そのことを明確にするために、WHOはphysical distancingを使うことを奨励しています。

3密回避、世界では3Cを避ける

日本では、厚生労働省が中心となって「3つの『密』を避けよう」をテーマにして、「密閉」「密集」「密接」を避けることを呼びかけていますが、英語版では「3つのCを避けよう」(Avoid the “Three Cs”)としています。3つのCとはClosed spaces, Crowded places, Close-contact settingsのことです。

2020年の春ごろからトランプ大統領などが、ventilatorが足りないことを記者会見などでしきりに訴えていました。最初は「なぜ換気装置がそんなに重要なのだろうか」と疑問に思ったのですが、辞書を引いてみて、ventilatorには医学用語として「人工呼吸装置」の意味があることを初めて知りました。

もしコロナの状況が、今後もずっと続くようであれば、医学用語としてのventilatorのほうが一般的によく知られるようになるかもしれません。