中1「2学期のテスト」が大学受験につながる

そうやって、はじめは親子で、次第に子供自身で勉強に向き合えるようになることが理想だ。そして、2学期の定期テストで好成績を目指す。なぜ2学期の定期テストが重要なのかといえば、このあたりでおおよその成績が見えてくるからだ。

先にも述べたが、中学入試の入学時の成績と高校3年生の卒業時の成績はあまり一致しない。中学に入学すると、最初にあるのが1学期の中間テストだが、授業が始まってまもなく実施されるため、それほど難しい問題は出ない。中学受験が終わった解放感であまり勉強をしてこなかったとしても、中学受験で蓄えた学力の貯蓄で高得点を取ってしまう子もいる。特に上位で合格した子に多い。すると、「なんだ、中学の勉強なんてこの程度か」と甘く見て、努力をしなくなる。ところが、2学期の定期テストになると、新しい内容がどんどん入ってくるので、日頃から家で勉強をしていないと、ガクッと成績が落ちてしまうのだ。

一方、中学入試後から毎日コツコツと勉強を続けてきた子は、はじめはうまくいかないかもしれないけれど、試行錯誤をくり返すうちに、夏休み明けには勉強のスタイルが確立していく。そして、おもしろいことに中1の2学期の定期テストで好成績が取れると、その後もこの調子で成績をキープしようと頑張り続け、結果、大学受験で良い結果を出すケースが多い。つまり、中1の2学期以降の成績が、卒業時の成績とつながりやすいということだ。

合格祈願の絵馬
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中学の勉強は「学校の授業」を大事にするべき

やっと中学受験が終わったのに、中1から頑張らないといけないのかと慌てた親もいるだろう。でも、ここで焦ってはいけない。中学受験終了と同時に、難関大学受験に向けた塾や予備校に通う子がいるが、私はあまりすすめない。そういう塾では、難しい問題をたくさん解かせることで、大学受験対策を行う。授業はものすごいスピードで進むし、宿題の量も多い。あまりにも早い先取り学習は、子供たちの理解を超え、自信を奪う。また、学校と塾のどちらの勉強を中心にやっていいのか分からず、どちらも中途半端になってしまうこともある。

私は中学の勉強は、学校の授業を大切にするべきだと考える。そして、家できちんと予習復習をし、定期テストで好成績を目指すことが、最終的に大学入試にもつながると思っている。塾に入れば、カリキュラムが用意されていて、勉強も進めやすいかもしれない。だが、中学生のうちに、自分で勉強の進め方を考え、うまくいかなかったら修正をするといった試行錯誤の経験を積ませることの方がはるかに大事と考える。

中高一貫校に通うメリットは、それがじっくりできることではないだろうか。その準備期間として、入学前の今やっておいた方がいいこと、やらない方がいいことをぜひ知っておいてほしい。本当に勉強が楽しくなるのは、これからだ。

(構成=石渡真由美)
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