自分に投資を続けることで身を守ってきた

ではなぜ彼女たちが頑ななまでに、人生に他人という「不確定要素」を入れたくないのか。それは輝かしい経歴が原因ではないかと、ある時ふと思い当たったんです。

医者、公認会計士、全国紙の記者、国家公務員……彼女たちはエリートですが、その肩書を手に入れるまでには、血のにじむような努力がありました。自分の努力によって階段を一歩一歩上がってきたという強い自負が、彼女たちの中にはあります。

そして今現在もハードな職場で、この先どれだけ走り続けることができるのかと、不安と戦いながら日々を過ごしている。彼女たちは結婚やパートナーに頼ることなく、自分に投資を続けることで己の身を、将来を守ってきたのだと思います。

家族を持てば相手が失業したり、病気になったりすることもあるでしょう。特に子供なんて小さい時はいつ熱を出すかわからないし、親の思い通りに育つことはないという意味でも、不確定要素しかないですよね。

彼女たちは、自分で何でもやってきたらからこそ、“自分の努力”でカバーできないことに、極端に不安を覚えるのかもしれません。夫の再就職は自分ではどうにもできないし、子供の夜泣きや将来も、親の努力でコントロールできるものではありません。だから彼女たちの世界はある意味、「自己完結」しているのかもしれません。

39.2度を計測した体温計
写真=iStock.com/yaoinlove
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余裕があっても「一人で生きることに不安」

美容外科医の原さんのタワマンに遊びに行った時でした。マンションには24時間管理人が常駐し、スポーツジムは徒歩3分。家の真下にコンビニもあれば、都心の一等地だけあって、ウーバーイーツで有名料理店のご飯も選び放題。原さんはマンションの半径3km以内で「自己完結」した暮らしを送っていました。

ただそれも、ウーバーイーツの配達員がいるから家にいても食事がとれるわけで、コンビニの店員さんがいるから、24時間いつでも買い物ができるわけですよね。もちろんその先には流通の人や生産者の人たちがいる。言うまでもないですが、一人で生きているように思える都会の一人暮らしは、多くの人の支えがあって成り立っているのです。

結婚するかしないか、子供がいるかいないかで、人の幸せをはかることなどできません。高い社会的地位を持ち、仕事に邁進まいしんする彼女たちが、シングルで生きることを幸せだと感じているなら、それが一番です。

ただ、これだけ高給取りで生活に余裕がある彼女たちですら、一人で生き続けることに不安を覚えていることは確かです。これはもしかすると、いくら資産形成の方法を教えても拭えないものなのでは……と感じています。

一人でも安心して老後を迎えられる社会制度や人とのつながりがあれば、「不確定要素」を受け入れられる心の余裕も生まれるのではないか。そんな気がしてなりません。

(構成=小泉なつみ)
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