高収入なのにお金が貯まらない人にはどんな共通点があるのか。ファイナンシャル・プランナーの高山一恵さんは「その場しのぎの、無意識の出費をしている傾向がある。将来の年金額を即答できない人は要注意だ」という――。

※この連載「高山一恵のお金の細道」では、高山さんのもとに寄せられた相談内容をもとに、お金との付き合い方をレクチャーしていきます。相談者のプライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

スマホ片手にショッピングを楽しむ女性
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです
真栄田さん(仮名/33歳)のケース
会社員(年収1000万円)
住まい 賃貸マンション(家賃18万円)
貯金額 30万円
進藤さん(仮名/30歳)のケース
会社員(年収600万円)
住まい 賃貸マンション(家賃13万円)
貯金額 20万円

年収1000万円なのに、貯金は30万円

突然ですが皆さん、「スタバ」はお好きですか。私は数カ月に1回立ち寄っては新作を楽しむ程度なのですが、今回の相談人・真栄田咲子さん(仮名/33歳)は「1日5回」、スタバに行くヘビーユーザー。ただ彼女が人一倍スタバ好きかというとそういうわけでもなく、「会社の下にあるからなんとなく」行ってしまうのだそう。

大手メーカーのデザイナーとして働く真栄田さんの年収は1000万円。シングルということで余裕もありますが貯金は30万円しかなく、給料前は現金がショートすることも珍しくありません。高給取りの彼女がなぜ頻繁に金欠になるのか。その実態に迫ります。

クーラー、服、メイク、スタバ、タクシー…すべてが「過剰」

真栄田さんを一言で表すなら、「過剰」です。

夏真っ盛りの時期に彼女の家に遊びに行くと、すべての部屋でクーラーがフル稼働していました。青山にあるマンションはたしかに素晴らしい物件でしたが、室温設定18度のリビングはとにかく寒く、ビールも進まないレベル……。

「なんで使ってない部屋までエアコンつけてるの?」と聞けば、「ガンガンに冷えてるのが好きなんです」。夏場の電気代は月10万円だそうです。

ファッションフリークでもある彼女は、知り合いのブランドの展示会に顔を出しては来シーズンの洋服を予約しまくり、何十万も散財するといいます。仕事の付き合いの側面もあると言いますが、やはりここでも「過剰」です。メイクや美容にも惜しみなくお金を使っていて、自宅には何十年かけても使い終わりそうにない量の化粧品が並んでいました。

そして会社にいる間は、スキマ時間を見つけて徒歩1分の距離にあるスタバに直行。「タバコを吸わない私のニコチンみたいなもの」と語るとおり、仕事は多忙を極め、たしかにストレスフルな毎日を送っているようです。

なにかとタクシーを拾ってしまうのも、慢性疲労からでしょうか。社用で使えば経費として申請できるので彼女自身の財布は痛みませんが、会社から振り込まれるのは1カ月先なので、その間に現金が足りなくなることもあるといいます。