WHOの調査を「中国寄り」と批判するアメリカを見習え

日本はどうだろうか。加藤勝信官房長官が6月4日の閣議後の記者会見で「日本政府としては天安門事件の発生直後に発出した官房長官談話で示している通り、軍の実力行使で痛ましい事態に至ったことは遺憾と言わざるをえない」と述べ、「自由、基本的人権の尊重、法の支配は、国際社会における普遍的な価値で、中国においても保障されることが重要だと考えている。一貫して中国政府に直接伝達してきている。中国の人権状況に関する懸念も表明している」と話した。

しかし、沙鴎一歩は日本の中国対応は生ぬるい、と思う。加藤氏の言葉はうなずけるものの、日本政府の行動力は十分ではない。

たとえばアメリカは中国を正面から批判している。新型コロナウイルスの発生源に関するWHO(世界保健機関)の調査を「中国寄りだ」と指摘し、「コウモリなどの動物由来説と中国のウイルス研究所(湖北省武漢市)からの流出説のどちらも確証が得られていない」とアメリカの情報当局に追加調査を指示している。

アメリカのように中国政府に圧力を加えなければ、中国当局の行動を正すことはできない。日本も見習うべきだ。

「事件時と事件後の二重の国家犯罪だ」と産経社説

6月4日付の産経新聞の社説(主張)は「天安門事件32年 二重の国家犯罪を許すな」との見出しを掲げ、中盤にこう書いている。

「中国共産党が犯した罪は一般市民の無差別殺傷だけではない。同党の権力の及ぶところでは、天安門事件はなかったことにされてきた。真相究明の動きを封じようと遺族や民主活動家らを拘束するなど、人権侵害は今も続いている。事件時と事件後の、いわば二重の国家犯罪といえる。許されるものではない」

見出しにある「二重の国家犯罪」とは、天安門事件での殺傷とその後の真相究明への弾圧を指しているようだ。しかし、少々分かりにくい。単に「国家犯罪が続いている」としたほうが、産経社説らしい切れ味が出るはずだ。

産経社説は後半に「隣国である民主主義の日本が黙っていていいわけがない」として、こう指摘する。

「日本が想起すべきは天安門事件後の対中外交失敗の教訓だ。事件をめぐって日本政府が『長期的、大局的観点から得策でない』などと、欧米諸国との対中共同制裁に反対する方針を明記した文書を作っていたことが、昨年の外交文書公開で明らかになった。人権軽視の姿勢は恥ずかしい」
「その後も日本政府は、天安門事件を反省しない中国が国際社会に復帰することを手助けした」

「対中外交失敗」「人権軽視の姿勢」「恥ずかしい」「中国を手助け」などと産経社説は日本政府を厳しく批判する。日本政府は、口先では中国を批判しても、その批判にともなうだけの行動力が不足しているのだ。保守の一翼を担う産経社説の言葉でもある。菅義偉政権には真摯に受け取ってもらいたい。