「日本手話のポエム」を観たら、あなたは圧倒される

「『普通』の定義がわからない」ろう者であり、俳優、ダンサーの大橋ひろえさんの短編ドキュメンタリーの制作中に聞いた言葉だ。大橋さんは母親から、聞いたことのない音を発する口話を特訓され「普通」の学校へ通った。日本では日常的に「普通」という言葉が飛び交う。しかし、その「普通」は誰にとっての普通なのか?

明晴学園の幼稚部で年長の児童が年下の子に教えている様子。(2021年2月、筆者撮影)
明晴学園の幼稚部で年長の児童が年下の子に教えている様子。(2021年2月、筆者撮影)

大橋さんをきっかけにろう者の世界への取材が広がった。そこで日本で唯一、「日本手話」で教育を行っている学校、東京都品川区にある明晴学園を訪れた。

日本手話とは日本語や英語同様、自然言語だ。日本語に沿って表現される日本語対応手話とは文法も違えば異なる言語体系を持っている。明晴学園の生徒は日本手話と文章での日本語と、バイリンガルの教育を受けているのだ。