「日本は2000年同じ民族」麻生発言から1年。今考えること

「2000年にわたって同じ民族が、同じ言語で、1つの王朝を保ち続けている国など世界中に日本しかない」。そんな発言を堂々と、誇らしげに政治家の麻生太郎さんが発したのは2020年のことだ。

ステージでディアブロ(中国ゴマ)を回すちゃんへん.さん(筆者撮影)。
ステージでディアブロ(中国ゴマ)を回すちゃんへん.さん(筆者撮影)。

ブラック・ライブズ・マター(BLM)運動などアメリカで起きた黒人差別の事件から世界的に大きく人種差別について声が上がる今、日本での民族の多様性について、ここまで無視された発言が日本の副総理から出てしまうことは、許されることではない。

20年から私は大切な友人であり、尊敬するフォトジャーナリスト安田菜津紀さんのルーツを辿る旅に同行し、映像で記録をさせてもらっている。父が他界してから、父が在日コリアンだったことを知った安田さんは、自身のルーツを探るため、父、祖父母の足取りを辿り始めたのだった。「自分のルーツを知りたい」。そんなまっすぐな思いが彼女を父親が生まれた京都へと向かわせた。この旅で彼女が出会ってきた在日コリアンたちは、彼女の探訪に自分のことのように協力した。ルーツと向き合うということがどれくらい大変な道のりで、重要なことかを体験してきているからだろう。