カリスマ書店員・エッセイストとして活躍しながら、39歳でストリッパーとしてデビューした女性がいる。新井見枝香さん(40歳)だ。彼女はなぜストリッパーになったのか。ノンフィクション作家の菅野久美子氏が聞いた――。
きっかけは小説家に誘われて…
ストリップ劇場が好きだ。
艶やかな色彩を放つミラーボールの下、眩いばかりのスポットライト。その中心で、あらわになる一糸まとわぬ肢体――。ステージの上には、汗をキラキラと輝かせながら舞う、神々しいとさえ思える女性たちの姿がある。私は、ストリップ劇場に足しげく通っては、数え切れないほどの女神たちを間近に見る。
そんな夢のような舞台に思いがけず立つことになった女性がいる。
カリスマ書店員で、そして人気エッセイストとしても活躍する新井見枝香さん(40歳)だ。新井さんは昨年の2月、39歳の時に新人踊り子としてデビューした。なぜ、カリスマ書店員として活躍していた新井さんが、ストリッパーをやろうと決めたのか。それは小説家の桜木紫乃さんに誘われて、上野のストリップ劇場を訪れたのがきっかけだった。
「桜木さんに連れられて初めてストリップを見て、ここは桃源郷だな、と思ったんです。次から次に、きれいなお姐さんたちが出てきて、夢みたいだなぁとすぐにこの世界に引き込まれました」
中でも最も心を打たれたのは、ベテラン踊り子の相田樹音さんだった。ダンスの技術はもちろんのこと、ショーとしての魅せ方や観客を巻き込む力に圧倒されたという。
1回目のステージが終わると樹音さんは表までサンダルのまま出てきて、親しげに話しかけてくれた。さっきまでステージで踊っていたのに、全く飾らないのだ。