ナワリヌイ氏の収監に欧米が強く反発
ロシアの反体制指導者、アレクセイ・ナワリヌイ氏の処遇をめぐり、欧米とロシアの関係が悪化している。事の発端は1月23日にナワリヌイ氏の呼びかけを受けてロシア全土で行われた、大規模な反政府デモだった。ロシア外務省は2月5日、このデモに参加した欧州連合(EU)加盟国の外交官3名を追放、EU側も報復措置に出た。
ナワリヌイ氏は昨年8月、ロシアで毒殺未遂に遭い、その後ドイツで治療を受けていた。今年1月に帰国した際に当局により身柄を拘束されたが、この一連の出来事が極めて非民主的であるとしてEUと米国はロシアを強く非難していた。ロシアの裁判所は2月2日、執行猶予中のナワリヌイ氏を実刑に処したが、これにも欧米は反発した。
2014年に発生した、いわゆるクリミア危機(ロシアがクリミア半島を併合したことに伴い欧米との間で生じた対立)以降、ロシアは欧米から制裁措置を受けている。当初、EUと米国は対露制裁で強調していたが、ある面では親露的であったトランプ前大統領の登場で、欧米による対露制裁は事実上、EUによる片発を余儀なくされた。
しかし伝統的な欧米流の価値観を重視するバイデン大統領が今年1月に米国で誕生したこと受けて、欧米による対露制裁のタッグが復活した。ロシア政府によるナワリヌイ氏への非民主的な扱いに米国とEUは批判を強めているが、そのEUのなかで微妙な立場に追いやられているのが、一時ナワリヌイ氏を保護していたドイツに他ならない。