時代小説の楽しみ方は2つあると思います。池波正太郎や司馬遼太郎は読むと「よっしゃ」と元気になる。一方、藤沢周平などの、江戸の名もなき貧しい人たちが、自らに厳しくひっそりと生きる姿は自分の生き方を見つめ直す参考になります。我々経営者は常に社員から見られており、見抜かれてしまいます。格好いいことを言っていても、やっていることは違うではないかと。
この本の主人公、備中松山藩の山田方谷は、10万両の借財をわずか8年で10万両の蓄財に変えた財政の天才です。藩の危機を救った手腕は吉宗や鷹山を凌ぐといえます。最後まで信念を貫いて激動の時代を駆け抜けた改革の巨人。私にとって、手本としたい一人です。