山のファッションは変革の時を迎えている

山を志向する女性が増えるに従って、山のファッションが少しずつ様変わりを始め、昨今の山スカートの大ブームにより山のファッションは変革の時を迎えている。

ブームに乗る女性たちは本格的な登山を志向しているわけではない。上述のように癒しを求めたり、健康志向であったり、レジャーの一つであったりする。トレッキングやハイキングのような楽しく自然に親しむ程度ならば、軽装備で十分だし、いきおいファッションにも気を配りたくなるものだ。「山でも女性らしいファッションをしたい」。このようなニーズに合致した商品が山スカートだったのである。

一見、山を舐めていると思われがちな山スカートだが、実はそれにもさまざまなメリットがある。

情緒面ではもちろん、女性らしいファッションが楽しめるということがある。スカートというもの自体が女性らしさを象徴する重要なアイテムであるし、それ以外にもサポートタイツの上にスカートが付加されることによって自分なりのオシャレを楽しめるというメリットがある。

モンベル企画部課長の渡邊千絵氏は、「スカートだと、自分なりにタイツの色を変えたり、靴下をいろいろな色のものに変化させたりして、多様なコーディネーションが楽しめる」と、その効用を説明する。

また、山スカートには機能面でも大きなメリットがある。女性が気にする体のラインをうまく隠せるという点だ。従来の山用のパンツはヒップラインがもろに出てしまい、かえって下からの視線が気になってしまうものだった。

また、縦走で山小屋での着替えやトイレなどの際に、山用のパンツだけだと不便を感じたり、恥ずかしかったりすることが多かった。だが、山スカートをはいていれば腰回りをしっかりと覆うことができ、周囲の目をさほど気にしなくて済む。