ある意識調査によれば、日本人の7割以上が「最近不安を感じている」という。精神科医の樺沢紫苑氏は「話す、書く、体を動かすという3つの行動を取ることが、不安の解消に役立つ」という——。

※本稿は、樺沢紫苑『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

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ファクト1:なぜ、不安は起きるのか?

何かについて悩み、苦しむとき、そこに必ず「不安」がつきまといます。ものすごく悩んでいるのに、「不安」が存在しない、ということはないはずです。不安の反対は「安心」ですから、「安心した状態になる」=「悩みの解決」です。脳科学的に「不安」の本質がわかれば、対処法は明快です。

不安を脳科学的にザックリと言えば、ノルアドレナリンの分泌です。人間が緊張、不安、恐怖の感情を持つとき、脳内物質のノルアドレナリンが分泌されます。

ノルアドレナリンは、「闘争か、逃走か」の物質と言われます。原始人がサーベルタイガーと出合った場面を想像してください。すでに相手はコチラに気づき、攻撃態勢に入ろうとしています。すべきことは、「闘う」か「逃げる」か、どちらかしかありません。ぼーっと突っ立っていると、殺されるだけです。

闘争か、逃走か。ノルアドレナリンが分泌されると脳が研ぎ澄まされ、集中力が高まり、どうすればいいのか一瞬で判断できるようになります。

そして、ノルアドレナリンとともにアドレナリンも分泌され、心拍数が上がり、全身に血液が行き渡り、いてもたってもいられない状態になります。全力で走って逃げるか、果敢に闘って打ち負かすか。ノルアドレナリンが引き起こす「不安」や「恐怖」が、ピンチを脱するエネルギーとなるのです。

つまり、ピンチのときに「さっさと行動しろ!」とあなたを猛烈にせかす物質が、ノルアドレナリンです。