虐待や災害、貧困……。強いストレスにさらされても、そこから立ち直っていける人は何が違うのでしょうか。そして私たちは、どうすれば立ち直る力を鍛えることができるのでしょうか。脳科学の専門家が解説します。
ストレスを溜め込みすぎている若いビジネスウーマンがカフェにいる
※写真はイメージです(写真=iStock.com/Asia-Pacific Images Studio)

同じストレス下でも折れる人と折れない人がいる

誰しも、苦しいことや悩みを抱えながら人生を歩んでいます。恵まれているように見える人でも、逆境にいるように見える人でも同じです。

そして同じようにストレスフルな体験をしても、大きな精神的打撃を受けて立ち直れなくなってしまう人と、立ち直れる人がいます。これは年齢を問わず、大人でも子どもでも当てはまります。実際に、研究上、同じネガティブな環境(虐待や災害、貧困など)の下に育っても、心理的な不適応に陥ってしまう人とそうでない人がいることが明らかにされています。

逆境にさらされたり、ストレスフルな出来事が起きたりして、精神的な傷を受けて一時的に落ち込んでも、そこから立ち直り、環境に適応していくことができる人の特性のことを「レジリエンス」と言います。このレジリエンスは、逆境からの立ち直りだけでなく、内的な成長にもつながることがわかっています。