名古屋の喫茶チェーンから全国区になりつつあるのがコメダ珈琲店だ。同チェーンは現在約390店舗の店を持つが、うち300店舗は中京地区にある。今後は首都圏と関西圏で店を増やす計画を進めている。
コメダの本社は名古屋駅から地下鉄で10分の車道駅近くにある。本社にいる正社員の数は少なく、30数名だ。本社では日曜と祝日を除く毎朝朝礼を行っているが、始まる前に社屋および近隣の掃除をする。その間、社長を含めた4名の役員は本社ビルの1階にある店舗(午前7時~午後11時)で、コーヒーの味を確かめながら、ミーティングを行う。
午前8時になると朝礼開始である。ワンフロアのオフィスで働く全員が起立し、背筋を伸ばす。誰もがカジュアルウエアで、スーツ姿はいない。
朝礼の内容はひとつだけだ。その日の予定、もしくはみんなに伝えたい連絡事項を各自が発表する。全員が必ずひとことずつ喋るのがコメダの朝礼である。布施義男社長は「目的はみんなの顔を眺めること」と語る。
「情報を共有化するために全員参加の朝礼を始めましたが、私にとってはみんなの顔を見て、声を聞くことが目的です。声が小さいと、元気がないのかな、後で声をかけようかな、と。30人くらいだから毎朝全員の声を聞いて体調を推し量ることができます」
朝礼の後、本社ビル1階にあるコメダでコーヒー(380円。首都圏は400円)を頼んだ。午前11時までなら追加料金なしで、厚切りトーストと茹で卵がつく。モーニングサービスで出る茹で卵は冷えたものであることが多い。ところが、コメダでは必ず当日の朝に茹でたものを出す。同チェーンが成長しているのは、商品とサービスの質を細部まで追求していること、そして、毎朝朝礼を行うことで全員が心をひとつにしていることにあるのではないか。
(山口典利=撮影)