人材派遣サービスの大手「パソナグループ」は2006年から、毎週木曜日に「エコ朝礼」を実施している。全国に260ある拠点のうち、東京、名古屋、大阪、福岡の4拠点では、木曜日に社員が持ち回りで、環境問題や自然との共生をテーマにした1分間スピーチをすることになっているのだ。

オフィス内の植物の管理は各部署に任されており、新人から役員まで、当番が交代で世話をする。

オフィス内の植物の管理は各部署に任されており、新人から役員まで、当番が交代で世話をする。

エコ朝礼の目的は社員のエコに対する意識を高めるためだ。だが、大手町にある同社の本部社屋を見れば、既に社員は地球環境、自然について、高い意識を持っていると感じられる。呉服橋交差点に立ってビルを見ると、誰もが唖然とするだろう。外壁はバラなどの植物に覆われ、緑のカーペットにくるまれたようになっている。玄関の両サイドには大きな実をつけた夏みかんの木があり、1階ロビーには「津軽ろまん」の水田が広がる。フロアの随所に野菜や植物が生い茂り、オフィスというよりも植物園のような環境だ。広報の梅原あい子さんはこう説明する。

「枯れ葉が落ちるので、朝礼の前に必ずビルの周辺をみんなで掃除しています。社内の植物にも当番で水やりをしています。それらの活動を通じて、各社員が自然にエコについて考えるようになります。植物の成長はうれしいものですし、社員同士の会話も増えました。会社に来るのが前より楽しくなったという社員も多いですよ」

本部ビルのなかで収穫したサラダ菜、大根、インゲンといった野菜は社内食堂のおかずになる。梅原さんの言うように、本部のオフィスにいれば、仕事のときも社員食堂でも、ついつい自然との共生を意識してしまう。

同社本部ビルの1階と2階は一般にも開放している。月曜から土曜の9:00~17:00は誰でも見学することができる。夏休みなどは子どもを連れた家族連れが水田やバラが咲き誇る外壁を見て、驚嘆の声をあげているという。次回はエコ朝礼の具体的な中身について。

(尾関裕士=撮影)