「感覚頼り」は危険、室温を数値で確認
あなたの職場の室温は何度だろうか。
省エネの観点から夏のオフィスの冷房設定温度について議論になったのは記憶に新しいが、かつて推奨されたオフィスの28度設定には根拠がない。それどころか仕事の能率が極端に落ちることがわかっている。
東京大学名誉教授でIBEC(建築環境・省エネルギー機構)理事長の村上周三氏、慶應義塾大学理工学部の伊香賀俊治教授らの研究によると、オフィスで28度設定は26度と比べて、社員1人あたりの光熱費が一日あたり15円節約になるものの、人件費が1人あたり1500円/日、無駄になるという。
「経済価値でいうと2桁違います。経営者は26度から28度に上げると社員に我慢の省エネを強いるうえに、100倍損するということです。作業効率と電力消費量のちょうどいいバランスが25.7度(図1)。ですからオフィスの冷房は26度に設定するといいでしょう」(伊香賀教授)