忘れるための努力は不要、悲しみは「愛した証拠」
故人を供養する「お盆」の時期、愛する人、大事に思う人の死を経験したあなたは、何を思うだろう。
連載の趣旨である「根拠ある医療健康情報」から離れるが、コロナ禍で死を身近に感じる今だからこそ“誰かとの別れ”から立ち直っていく過程にふれてみたい。
『ひとりで死ぬのだって大丈夫』(朝日新聞出版)などの著書を持ち、緩和ケア医として多くの患者の終末期に接してきた奥野滋子医師は「この時期になると、故人が家に戻ってくるのが待ち遠しいという声が(ご遺族から)聞かれる」と話す。
「ひょっとしたら目の前に現れるんじゃないか、抱きしめてくれるような感覚がしないかなぁって言う人もいます。死者との対話を楽しめる時間、心の思いの丈を伝えられる機会がお盆なのかもしれません。私にとっても生まれてから出会い、死によって別れた人々――親族だけでなく友人知人、看取りをさせていただいた患者さんとの対話を静かに楽しむ大切な時間です」
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