ワンフレーズで政治を行うことの危険性
共通していることは「ワンフレーズでくくることの危険性」です。パチンコ店も、ナイトクラブも、ホストクラブについても、業界全体が悪いという見せ方は本質的な対策の邪魔となります。実際のところ、感染拡大防止を講じている店舗や6月19日までロードマップを遵守していた店舗がほとんどでした。一方で、緊急事態宣言中に営業を続けたことで売り上げが伸びたという店舗があります。他の店舗が閉まっているため、そこに利用者が集中した結果です。しかし、あくまで休業要請であり営業補償はしないということが大前提ですから、これは「闇営業」とは言えません。こういった店舗があるのにもかかわらず、どんな感染拡大防止策を行っているかなど一歩踏み込んだ調査をしてこなかった都の姿勢に疑問を感じずにはいられません。
また、真面目な経営者の店舗ほど営業を再開しないため、収入がなくなった女性従業員がパパ活に力を入れることになったり、「この店でコロナになった」と恐喝されたなどの相談が届くようになりました。そこで、こういった生の声を都の担当者は聞くべきだと私は強く思い、都内中の繁華街の様子についての意見交換会の場もセットしました。「都のロードマップや自粛要請基準が曖昧ゆえに、東京の治安は崩壊しつつある。危機管理として、どう向き合うのか」といった視点で、かなり生々しいやり取りもしました。そのうえで「今後ナイトクラブにはガイドラインを作っていただき、それを都が認証する形で『優良店』の判断ができるような仕組みを導入すべきだ」と提案しました。東京都の認証マークも正式に導入となったのです。
小池都政により繁華街は負のループへ…本当の「新しい生活様式」とは
ただ、小池知事が「夜の街や接待を伴う飲食店」とばかり口にしてきた結果、繁華街は悪循環に陥りつつあります。例えば、「優良店」は水割りを作るマドラーを使い捨てにしたり一人ひとり専用にしたりして営業しようとしています。ところが、同じ地区の別の飲食店では共用だったりするのです。つまり、小池知事の曖昧な発信で業態によって「警戒心」に差がついてしまっているのです。
実際、「昼の街」でも感染が広がっているケースもありうるわけです。マスコミや小池知事が伝えてきた「夜の街」はあくまで例え話であり、本当は「朝の街」「昼の街」「黄昏の街」全てにおいて店舗も利用者も誰もが「無症状保有者かもしれないのだ」という原点に立ち返り、「感染させてはいけない」「感染してはいけない」と皆が気を配る「新しい日常」を作っていかねばならないのです。
新宿以外なら大丈夫と思っている方も多いようで、他の街に新宿から人が流れてきたと指摘されています。これから、仲間内の食事会や飲み会も徐々に行われるようになると思います。会計が終わって、店の外に出てきたときにマスクをしていない方が必ずいるはずです。それを、そっと注意できる「新しい価値観」を「夜の街」に根付かせる必要があるでしょう。