「夜の街」という言葉で人が消えた東京の繁華街
6月19日、緊急事態宣言発令から続いていた各業種の営業自粛要請が事実上全面解除となりました。しかし、かつての生活が戻ってくることはありません。新たな生活様式を模索し「withコロナの時代」を乗り越えていく覚悟が現代人に求められるようになったのは間違いありません。そこで、新型コロナウイルス対策の現場を駆け回ってきた身として、改めてこの場を借りて皆様にお伝えしておきたいことがございます。
最近の報道を見ると、新規感染者数を伝える際に「夜の街は何名」「新宿は何名」という表現を使うメディアが増えています。事の発端は、緊急事態宣言前の3月30日の都知事会見にあるように思われます。小池知事は「特に、最近の話ですけれど、夜の街といいますか、夜間から早朝にかけての接伴飲食業の場での感染者が東京都で多発していることが明らかになりつつあります」と述べました。実際のところ、東京都が警戒していたのは「夜間から早朝にかけての接伴飲食業の場」であり、一般的な居酒屋やバー等は小池知事の指摘の対象外だったのです。しかし「夜の街」という全業種をひとくくりにした言葉だけが独り歩きした結果、東京の繁華街から人が消えたのでした。