小池知事は「マーケティング政治」を行っているだけ

パチンコ店への休業要請についても小池知事が腰を上げたタイミングや理由は明確ではありませんでした。少なくとも他県がパチンコ店への自粛要請を始めた頃は、都の姿勢はまだ本気ではなく、私自身、他県で知事と県警本部長が連動してパチンコ店へ働き掛けているのを見るたびに、「早く知事は警視総監とメッセージを出すべきだ」と記者会見などでも申し上げてきましたが、都庁クラブも取り上げることはありませんでした。

4月24日、小池知事は「特措法45条に基づき休業を要請し従わなかった場合には店名も公表する」という旨を会見で述べて評価を得ました。しかし、これもあくまで「休業をせず営業を続けたパチンコ店」の様子が各マスコミで報道された結果、都にもご意見のお電話が集中した結果の知事の動きであり、先んじての行動ではなかったのは自明です。まさに「劇場型政治」というのにふさわしい小池知事の「マーケティング政治」です。

東京都は「屋形船の失敗」を恐れている

皆様とよくよく考えなくてはいけないことがあります。それは、営業自粛が全面解除となった6月19日より前に「夜の街」から感染者が相次いだというのは、そもそも「ロードマップがスルーされてた」ことを意味しているということです。

東京都がロードマップ遵守を強制することができなかったことには2つの理由があります。1点目は法的根拠が薄いということです。確かにパチンコ店対応で使った特措法45条は、緊急事態宣言中にのみ行使できる知事の権限です。しかし、各知事には強制力はないものの24条に基づいた要請というものがあります。そのうえで2点目の理由として、過去の失敗から特定業種指定を恐れているということです。というのも東京都における第1号となった陽性者について「屋形船が悪い」と東京都が会見で断定的に発表したために屋形船が風評被害に遭ってしまったからです。結果として屋形船は場を提供したに過ぎませんし、屋形船側も早い時期から保健所への相談もしていました。しかし「屋形船に武漢からウイルスが持ち込まれ多くの人に感染を広げた」といううわさが広がるのを都が「後押し」することになってしまったのです。